「手漉き和紙」と川の関係を知っていますか?
2014年、ユネスコは「和紙・日本の手漉和紙技術」を世界無形文化遺産に登録しました。
この和紙に含まれるのは、島根県浜田市の「石州半紙(せきしゅうばんし)」と岐阜県美濃市の「本美濃紙(ほんみのし)」(岐阜県美濃市)、そして埼玉県小川町と東秩父村に伝わる「細川紙(ほそかわし)」の3つです。
小川町・東秩父村地域の手漉き和紙の歴史は古く、宝亀5年(774年)の正倉院文書に武蔵紙の記録が見られることから、1200年以上の歴史があると考えられています。
その後、和紙に関する資料が見られるのは江戸時代になってからのことです。江戸が経済の中心地として繁栄すると「小川紙」としてその名が知られ、和紙の一大産地に発展しました。
「細川紙」の名称が登場するのは江戸中期。見た目の美しさと丈夫さが評価され、江戸の商家や町方・村方での帳面用紙、庶民の生活必需品として好まれました。明治以降も帳面・台帳用紙として広く用いられました。
世界的にも評価されるようになった手漉き和紙の文化に、川は大きく関係しています。
和紙を作る工程で行われるゴミや不純物を取り除く作業は、川の水がきれいでなくてはできません。
良質な和紙作りのために清らかな清流は必要不可欠だったのです。
小川町・東秩父村には「兜川」「槻川」という清流が流れていて、この地域で和紙作りが発展したのは、2つの川の存在があったからでした。
美しい川と私たちの伝統文化の深い縁、おわかりいただけたでしょうか。