今回は「水」にまつわる言い伝えのある、
埼玉県ふじみ野市の「大井弁天の森」を紹介します。
その昔、南畑村(現富士見市)に与右衛門とおりくという大工の夫婦が住んでいました。
二人にはお花という娘がいました。
あるとき、お花の体にできものができてしまい、ぜんぜんよくなりませんでした。
ある日のこと、与右衛門は大井の里で仕事中に切り株に座って寝入ってしまいました。
すると、どこからか弁天様が現れ、
「大井の里にはそれはきれいな水の湧く所がある。その水で娘の体を洗っておあげ」
と言って消えました。
与右衛門はその場所を探して水を持ち帰り、
お花につけると病はたちまち治ったそうです。
この話は広まり、江戸方面からも人が訪れました。
最盛期だった明治中頃の縁日は、とてもにぎわったそうです。
この大井弁天の森は、「大井清水弁財天」の森として残されてきたものです。
「大井弁天」として親しまれた弁天様(木製)は、
東京上野の不忍池の弁天様より分霊されたものと伝えられています。
現在は別のお寺に移されています。
森の中にある東屋の場所には、かつて「御籠堂(おこもりどう)」がありました。
地元の人々によって修理が行われてきましたが、老朽化が進み、平成元年に解体されました。
東屋の前には、御籠堂のころからあるとされる石灯ろうが今も残されています。
イベント名 | 湧き水で娘の病が回復!?~水にまつわる言い伝え~ |
埼玉をこよなく愛する、埼玉専門の覆面フリーライター。実は生まれ育ちは東京。
愛車の原付バイクで県内をくまなく回り、埼玉のニッチな魅力を日々発掘!
テレビ出演多数。著書【埼玉のアナ 東上沿線 和光-川越編】。