私は生まれも育ちも埼玉県熊谷市。
海なし県だが、海には毎年必ず行っていた。
父の故郷が新潟県村上市、そこには、澄み切った碧い海の美しさと、日本海の荒波でできた岩礁や洞窟で織りなす11kmにも続く海岸線、笹川流れがある。ここで物心のつく前から海水浴を楽しんだ。
泳ぎは海で学んだ、素潜りが得意な父と兄と共に、見よう見まねで日本海の荒波の中を潜っていくことで、自然に身についたようだ。
笹川流れは岩場が多いので、ウニやカキやアワビなどの貝類が豊富にとれる、沖ではタライがぷかぷかと浮いている風景も見られる、海女さんだ。ここでは美味しい貝がとれる、その中でも海女さんたちが丁寧にとってくる、夏場の岩がきは絶品である。その大きさと美味しさに感動する。
レストランで食べるのも良いが、ぜひ鮮魚店に足を運んでほしい、良い意味で雑に盛られて出される岩がきは、他では味わえない程の美味さで、しかも安い。隣では店員が名人芸の様にカキの殻を開けていくのが見られるのも鮮魚店の楽しみの一つ。
小さい頃は家族と親戚と大人数で訪れた海水浴も、自分も含め子供たちが大きくなっていき、しだいに足が遠のいていった。
寂しさを感じていたが、自分にも家族ができ、今度は自分の子供を連れて訪れるようになった。
車を走らせカーブを曲がると目前に海が見えてくる、窓を開けて潮の香りを嗅ぐと、あの頃の楽しい思い出が蘇る。今は会えない人を思うと寂しさもあれど、あの楽しい笑い声も一緒に聞こえてくる様な、いつでもあの頃にかえれる場所、それが新潟の海であり、私のもう一つのふるさとである。
笹川流れに行ったことのない人はぜひ一度訪れてみてほしい、見渡す限りの水平線に沈む夕日の美しさに心打たれることだろう。
FMクマガヤパーソナリティ