レポート
2022.01.28

利根川も荒川も大改造!?江戸時代に徳川家康の命令で行われた大プロジェクト

どーも、お疲れきし!れきしクンでございます。

“日本一暑い街”でお馴染みの熊谷市出身の35歳で、普段は歴史の楽しさを広げる活動をしています。

 

さて「海なし県から海と共生するムーブメントを起こす」という、この『海と日本プロジェクトin埼玉県』。

歴史的に見ても、埼玉県と非常にマッチしたテーマかと思います!

埼玉県には、北を流れる「利根川」やど真ん中を流れる「荒川」に代表されるように、海に繋がるたくさんの河川があります。

その河川には、電車や車が登場するまで多くの船が最速の交通手段として使用され、江戸(東京都)と繋がり、さらには海を通じて全国や世界とリンクしてきました。

となると、海なし県ではありますが、埼玉県民は海と切っても切れない関係にあるわけです。

 

しかし、埼玉県民の経済や交流に味方してくれた河川たちも、時に埼玉県民を苦しめてきた歴史もあります。

それが河川の氾濫です。

1590年(天正18年)に「忍城」(行田市)が豊臣秀吉の軍勢に水攻めされたと言われるように、河川の氾濫などにより埼玉県は水浸しになってしまうことが度々ありました。

そこで、今から300年以上前の江戸時代初め(1600年代はじめ)に、江戸幕府によって埼玉県の河川は大改造されています。この規模が凄まじいんです。

現在、利根川は千葉県と茨城県の間を流れて海に出ますが、実は江戸時代以前は江戸湾(今の東京湾)に流れていたんです。しかも、利根川は江戸の近くで荒川や多くの大河川と合流していたため、度々氾濫が起きていました。

そこで、江戸幕府の初代将軍の徳川家康は、現在「利根川東遷事業」と呼ばれている利根川の大改造を命令!

家康が亡くなってからも40年ほど工事は続き、1654年(承応3年)頃になって、現在と同じように東京湾ではなく千葉県の銚子の方に流れるルートに付け替えられています。

また、同じように荒川も河川のルート変更が行われ、その下流部分に当たるのが「隅田川」です。ちなみに、元々のルートは現在も「元荒川」と呼ばれている清流でして、熊谷市には絶滅危惧種であるムサシトミヨという可愛らしい魚が世界で唯一生息しています。

 

さてさて、この埼玉県の河川の大工事プロジェクトを進めた中心人物というのが「伊奈忠次(いな ただつぐ)」「伊奈忠治(ただはる)」親子です!この親子はもう、埼玉県が誇る偉人といって差し支えないでしょう!と言っても、伊奈家の出身は愛知県西尾市ですが(笑)。

まず、父の伊奈忠次は徳川家康の側近でかなりの敏腕家臣。埼玉県をはじめとした関東の代官頭(徳川家の直轄領を管理するトップオブ官僚)を務めています。インフラ工事も得意としていたことから、利根川や荒川などの河川工事に取り掛かり、父と同じく関東代官頭を務めた息子の伊奈忠治の2代にわたって、この大プロジェクトを成功させました。

 

そんな伊奈家の領地はもちろん埼玉県にあり、伊奈町には埼玉県指定記念物(史跡)に登録されている「伊奈氏屋敷跡」(屋敷と称されていますが、ほぼ“お城”の造り!)が残り、鴻巣市の勝願寺には2人のお墓が建てられています。ちなみに、屋敷跡がある「伊奈町」の由来は、この伊奈忠次さんです!

さらに、また地元の熊谷の話題で恐縮ですが、熊谷や深谷を流れる埼玉県最古の用水路の「備前渠(びぜんきょ)用水路」が昨年に『世界かんがい施設遺産』に選ばれたばかりなのですが、この歴史的な農業用水路を手掛けたのも伊奈忠次さんです。用水路の名前は伊奈忠次さんの官職名が「備前守(びぜんのかみ)」だったことに由来しています。

 

このような大河川工事の歴史が生まれたのも、当然、埼玉県が川を通じて、江戸湾と繋がっていたためです。

となると「海なし県から海と共生するムーブメントを起こす」というのは、既に江戸時代やそれ以前から行われていたと言えるかもしれません。現代を生きる我々も、先人たちと同じように、川や海と共生する歴史を歩んでいければ良いのではないかなぁと思います!

 

レポーター紹介

れきしクン(長谷川ヨシテル)

歴史ナビゲーター

FMクマガヤパーソナリティ

 

 

 

 

 

 

イベント詳細

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