レポート
2025.12.05

海の入り口🌊

EXPO2025大阪・関西万博は四方を海に囲まれていることから「海の万博」とも呼ばれている。

総入場者数2,900万人を超える盛況のうちに幕を閉じた。

素晴しいパビリオンが並ぶその中で「BLUE OCEAN DOME」にまず触れておきたい。

その映像に強い衝撃を受けたからだ。

うっとりするような美しい青い海が映し出されたあとに、続く漂流する巨大なプラスチックのゴミの島…それは「太平洋ゴミベルト」と呼ばれ、実に日本の国土面積の4倍以上に匹敵するという。太平洋だけではない。大西洋にも同様のゴミベルトは存在する。

これまでも魚類をはじめ、ウミガメや海鳥、クジラなどが、ポリ袋を餌と間違えて食べてしまったり、漁網に絡まったりして傷つき、死んでしまうといった被害が後を絶たず、2050年には海中に漂うプラスチックゴミが、魚の数を上回ってしまうといった恐ろしいデータまである。

 

 

『マイクロプラスチック』とは…?

しかし本当に恐ろしいのはマイクロプラスチックの存在だ。マイクロプラスチックとは、直径5mm以下の小さなプラスチックを指す。

 最新の調査ではサンゴがマイクロプラスチックを「好んで」捕食していることが判明したという。もちろん生物であるサンゴがプラスチックを摂取しても消化されずに栄養失調に陥ってしまう。多くの魚たちの産卵場所や生息地であるサンゴ礁、その消失は海洋生態系全体に深刻な影響を及ぼすことは言うまでもないだろう。早急な対策をしなければサンゴ礁は2050年までに完全に消減するという恐ろしい報告もある。

 

なにも野生生物に限ったことではない。人も飲食や呼吸を通じて、ナノサイズのマイクロプラスチックを摂取していることが明らかになってきた。亡くなった成人の脳・肝臓・腎臓を調査した結果、すべての臓器からマイクロプラスチックが検出されたという。特に脳に高濃度で蓄積されており、認知症を患っていた被験者の脳には、そうでない人の最大10倍のマイクロプラスチックが蓄積していたというデータもある。

世界中の人々が、毎週クレジットカード1枚分に相当する5グラムのマイクロプラスチック粒子を摂取しているという現実…。

10数年前に参加した屋久島のエコツアーでの経験を思い出す。

洋上のアルプスとも呼ばれる屋久島は標高差が大きいことから、亜熱帯から冷温帯の気候を有し、その変化に富んだ美しい自然を堪能することができる。そしてそのガイドツアー最後の目的地がウミガメの産卵地の砂浜だった。

屋久島はウミガメの上陸頭数が日本一であり、5月上旬から8月上旬にかけてその産卵を見ることができる。その浜で私たちに配られたのは大きなビニール袋だった。エコツアーの最後の仕上げは浜辺でゴミ拾い、というわけだ。

ペットボトルやビニールゴミ、海流のかげんか、韓国語が表記されたものも多数ある。大きな袋はまたたくまにいっぱいになっていく。ウミガメのため、その浜を守っているNPOのボランティアは毎日のようにこれを繰り返しているというのだ。

 

人間は、海をゴミ箱にしてはいないか?

 

毎年、約1500万トンものプラスチックが海に投棄されているというが、海洋ごみの8割近くは街から発生している。雨で流された路上のごみが川や水路に流れ込む。合成繊維の繊維くず、歯磨き粉や洗顔料などに含まれるスクラブ剤などは排水溝から下水処理され、海に流されるが、微細なため回収することは非常に困難だという。

海を守るのは私たち。

先日、秋の穏やかな陽気に誘われて、久しぶりに大里郡寄居町の埼玉県立『川の博物館』を訪れた。直径24.2mの日本一の大水車が私たちを迎えてくれる。

『川を見る、川を感じる、川を知る、体感する博物館』をテーマとし、『埼玉の母なる川-荒川-を中心とする河川や水と人々のくらしとのかかわり』を体験し、環境保護について河川の浄化や水循環の視点からとらえてもらうことをねらいとしている。

圧巻なのは一級河川荒川の、源流から東京湾までの流れを1000分の1に縮小して表現した荒川大模型173だ。「173」は荒川の長さが173kmであることから名づけられたという。

 

川は海の入口だ。海はつながっているから世界中が真剣に、そして早急に答えを出さなければいけないだろう。

海のない埼玉県に住む私たちにとっても、旅先で出会う美しい海は、時に深い感動を与えてくれる。この海を守っていくのも、また私たち自身なのだ。

レポーター紹介

田中規子

FMクマガヤパーソナリティ

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